★椿組は2013年夏、新たな伝説に挑戦する。
演劇界でも見た人の少ない幻の作品として話題の「かなかぬち」~ちちのみの父はいまさず~の上演を目指します。
2013年に28年目となる椿組花園神社野外劇の企画作品は、1992年46歳の若さで他界した芥川賞作家・中上健次が生前唯一残した戯曲「かなかぬち」~ちちのみの父はいまさず~に挑戦します。
1979年「はみだし劇場」外波山文明の為に書き下ろした戯曲「ちちのみの父はいまさず」は浅草・稲村劇場の解体最終公演として上演され、話題をさらいました。
その後、1983年山形県・朝日村注連寺境内、東京・東北沢ニュージランド大使館敷地にて完全野外劇として上演。
さらに中上健次自身の改訂版を得て1986年熊野の本宮大社跡地・大斎原にて2.000人のお客を集め上演、絶賛されました。
又その様子は「隠国の野外劇」としてNHK・ETV8にてドキュメンタリー番組として放送され話題を集めました。さらにその勢いそのままに横浜・本牧の米軍将校官舎跡地の小学校予定地で公演されました。
この作品はその文学的な内容と共に、「火のエネルギー無くして語れない作品」として封印されて来ました。
が、中上健次没後20年が経ち、再び「文学の復権」「見せ物としての演劇の復権」を掲げ、この芝居のテーマでもある「異形のものの哀しみ」「芝居の持つエネルギーの猥雑さ」を提示しようではないかと、ここに上演を決定しました。
椿組の夏の風物詩として定着して来ている花園神社野外劇としての「かなかぬち」の上演は、新たな演出の見直し、役者の充実、野外劇の本来の在り方、又、火をあまり使えない制約は承知の上で、中上世界の文学的内容の更なる検証・質的向上を目指し椿組一丸となって取り組みます。必ずや2013年の話題作となる事間違い有りません。
又、外波山文明の故郷・長野県南木曽での上演も決定いたしました。南木曽を離れ45年、未だその故郷を心の拠り所として生き続ける「一人の役者」として故郷での公演は夢の又夢でした。
が、66歳の今、機は熟したと満を持しての企画です。
町の人達・同級生・親戚・先輩後輩・・・
全ての人達の力をお借りして、都会では出来ない「木曽の地」だからこそ出来る演出を考え、地方からの文化・演劇の発信を試みたいと思います。詳細はこれから地元の人達や、町関係者の方々のお智恵をお借りして詰めて行きたいと思っています。